日々の仕事そっちのけで気ままな
フリーランス人生。約束された収入や
人間性を失う満員電車にもまれること無く
目覚めたときが生きることの始まり。
それでも数少ない仕事の〆切はやって来る。
ひと仕事終え、その束縛からの解放と
自分らしく生きるため、独り無人島へと
脱走を繰り返す。時には友に声をかけて…
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伊東孝志
Text & Illustration by ITO TAKASHI
奄美大島生まれの小学58年生。ヤドカリを人生の師と
仰ぎ、筆先に北斎を見つめ水彩の楽描きを糧とし古今
東西南北の日々を漂流する。明日よりも今日を楽しむ
ことを実践し「毎日がお正月」をモットーに「日々の
暮らしが仕事、仕事が暮らし」を生きている。ボロボ
ロ短パン・アロハに島ゾーリでその日暮らしな毎日な
ので、ネコとカニ・ヤドカリと戯れ過ぎて、貧乏ヒマ
ばかりな「南国お気楽生活」を送っている~らしい。
暗闇の中、ガサゴソがさゴソと何かが音をた
て、その違和感にふと目が覚める。
ここは、とある南の島の無人島。闇の中しば
らくガサゴソの主が何かを考えた。
枕元のペンライトを点け時計見ればなんと真
夜中3時。モスキート・ネット足元向こうのガ
サゴソ音する方向・焚き火カマド辺りに明り照
らせば、何と浜ガニ(シオマネキ?ツノメガニ)
大小数十匹がキャンプ・サイトあちらコチラに
群れなして歩き回っているのだった。
子供の握りコブシぐらいのデカいカニ数匹が
ライトの光を気にしてか、アンテナ状の赤い目
でコチラの様子をうかがっている。どうやら我
々はカニたちの楽園にベースキャンプを設営し
たらしい。
前号、この連載記事で少し書いたが、新しい
フォールディング・カヤックを手に入れ新たな
旅を目指し、舟の開発者・サタン笠原と二人で
南國・琉球のとある無人島へとテスト・パドリ
ングを兼ね、俗世からしばし脱走したのだった。
カヤックの詳しいことは次なる項にて説明す
るとして、まずは大嘘・隠蔽はびこるウソくさ
い巷を抜け出し、何モノにも束縛されない自由
な場所で、明日からのカヤック旅を中心とした
楽しいミライを話し合い、いい加減な人生をリ
セットし、そのいい加減さをさらに加速させ、
これまでの互いの経験から得た「遊びの哲学」
を再確認して、新たな目標を見定めるための
無人島・秘密基地ミーティングなのである。
ここ無人島では、テレビ業界はびこるヨシモ
ト・ナンとかのこれといった芸無し電波芸者た
ちの笑えないバラエティ番組や、アホ面さらし
てタダ飯食らうくだらない旅番組など見てイラ
つくことも無い。ましてや時の政権に忖度いち
じるしい多くのテレビ局が流すニュースや報道
番組、そして原発電力企業と結託し業界牛耳る
ブラック企業・電通のプロパガンダ情報など雑
音の類いは、ラッキーなことに我々の耳には、
いっさい届かないのだ。
聞こえるのは、浜辺に打ち寄せるリズミカル
な波の音と、時おり吹く風に揺れる樹々のざわ
めき、そして忘れた頃に通り過ぎるスコールの
タープやテントをたたく雨音。そして遠くに
聞こえる海鳥や野鳥たちの鳴き声のみ…
あァ~なんと清々しいことか。
(敬称略)
以下、
2019年発売 Fielder49号連載
参照されたし
~注意*文字・色校正紙.pdf につき誤字脱字あり*お許しあれ~